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メタバースにおけるアバターとアイデンティティ、パート2

December 7, 2021

by Nameer Hirschkind, Data Science/Machine Learning Intern


テック

当社のデータサイエンスチームによるブログ記事、パート1はこちら

以前の記事でRoblox(ロブロックス)ユーザーの行動をさらに深く理解するためにアバターの美的な側面を分析しました。 パート 2では、ユーザーの実生活での識別子がロブロックス上でのアイデンティティとどのように関連しているかを理解するためにアバターとアイデンティティについて深掘りを続けます。

年齢

年齢は、実質的な情報ですが、ここから始めるのが簡単でしょう。 年齢が高いユーザーと低年齢のユーザーでは、美的な好みに違いがあるでしょうか? 驚くことに、その答えはほぼ「ない」です。

当社は、年齢層の違うクラスター(集団)によってある程度の差異はあるものの、全般的には差異よりはオーバーラップする部分が多く、統計学的に意義のある偏差はほんの少ししかありませんでした。

 

地理的なアイデンティティ

Robloxは、グローバルなプラットフォームであり、どの文化もユニークなものです。 これは、当社のデータに反映されています。違う国々で発生するクラスター頻度には、劇的な美的な面での差異が見られます。

これは、ユーザー層の特性によることがあります。例えばサウジアラビアでは、Roblox上の自己申告では男性よりも女性のほうが多く、女性に見えるアバターの人気の高さに繋がっています。

その一方で、地理的に見られる傾向は、文化に由来するかもしれません。 ブラジルでは、緑のスポーツタイプのジャージと茶色いソフトモヒカンの髪型の 男性に見えるアバター(15歳以下のクラスター)が他の国々と比較して顕著に人気が高いです。 ブラジルの国家のテーマカラーとサッカーの根強い人気、そして有名人のヘアスタイルを考慮すると、これはよく分かります。

左: ガブリエル・バルボーサ。 出典: Marcelo Camargo/ABr, CC BY 3.0 BR <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0/br/deed.en>、 Wikimedia Commons 右: ネイマール。 出典: Agência Brasil Fotografias, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>、Wikimedia Commons

サウジアラビアのクラスター頻度(クラスター 7は、女性優勢のクラスター)

ブラジルのクラスター頻度:

性別

当社のクラスターの属性のうちで顕著なものの一つは、性別の極端な偏りです。ほとんどのクラスターは、ほぼ男性が大多数か女性が大多数のどちらかになっていて、違う性別が入り混じっているグループはほとんどありませんでした。 性別を明示しているRobloxユーザーは、それを反映したアバターを選ぶ傾向にあります。

当社は、これを数値化できます。 サムネイルの訓練を受けたさらに簡単な畳み込みニューラルネットワークは、自己申告による性別を91%の割合で正確に予測できました。 興味深かったことは、モデルの判定が正しくなかったユーザーを見たとき、65%が自己申告による女性ということが分かり、これは女性のユーザーは明らかに女性の外見のアバターを選ぶ確率が低いということを示唆しています。

20クラスター以上の性別の割合:

両極端の外見: Rthroとブロッキー

Robloxで美的な多様性における特定の2つの原型は、「Rthro(リスロ)」と「ブロッキー」です。 Rthro(リスロ)は、「ヒューマノイド」タイプの背が高くて痩せ型のアバターで 2018年にリリースされ、「ブロッキー」は、Robloxの初期にとても人気のある外見でした(それぞれの例は以下のビジュアルを参照)。 どちらも現在では同じように小さな規模のクラスターですが、もっと視覚的に差別化することはできませんでした。

この特定の原型を比較するために、軽い半監視つき手法でやりました。まず、より多くの数(100)のクラスターを生成し、それから手動でRthroかブロッキーかをサンプルの視覚的な検査でラベリングし、最終的には同じラベルのクラスターにグループ化しました。 このテクニックによって、この2つのクラスの外的な基準に合致した、より密で凝集性のあるクラスターを作ることができました。

ブロッキーを作るために組み合わされたクラスターの一部:

Rthroを作るために組み合わされたクラスターの一部:

まず、この作業が明らかにしたのは、これらのクラスターは相対的には小さなものだと言うことでした。合わせても、ユーザー層全体のたったの7%に過ぎませんでした。残りの 93%は、より極端さの少ないRobloxボディタイプが占めていました。 次に、Rthroとブロッキーの美的な違いは、そのニッチなユーザーの特徴を反映していました。

  • ブロッキーを使っているユーザーのプラットフォーム歴は、Rthroユーザーよりもかなり長く、実際のところ典型的なブロッキーユーザーは平均的なRthroユーザーと比較して2倍以上のプラットフォーム歴があります。
  • 違いは、プレイタイムと同じくらい明確でブロッキーのプレイタイムはRthroの2倍になっています。
  • また、ブロッキーのユーザーは以前のR6アバター環境設定を利用したニッチなゲームでのプレイタイムが長いことも判明しました。

こういった比較のすべてがブロッキーユーザー像を浮き彫りにしてくれます。少数ではあるけれど、ゲームプレイでもアバターデザインでもRobloxの古いブロッキーの美的感覚に惹かれている忠実でエンゲージメント度の高いユーザー層ということです。 その反面、Rthroユーザーは、 Robloxでの旅路を始めて間もない新規のユーザーが多いです。

美的に極端に乖離した残りの93%のアバターのボディタイプとそれに呼応したロブロクシアンのサブカルチャーについて、このような深掘りを繰り返すことを考えてみてください。

潜在的なアバターの改良

最終的には、当社の分析はユーザーの方々にとってRoblox体験をどうやってより良くしていくかの仮説を裏付けたり提案していくのが目的です。 プロダクトロードマップに載せるために考慮してもらうには、計画の提案と評価には、スペックを超越して実際のコンセプトの証明(PoC)を構築することが役立つときがあります。

こちらは、当社がこの夏、まとめた例の一部です。 明らかにしておきたいのは、これらはただのプロトタイプであり、日の目を見ることはないかもしれませんが、ユーザーを深く理解することがユーザーにとってさらに有益な製品を作ることにつながることが理解いただけたと思います。

1.アバターデフォルトの改善: 今のところ、最初に割り当てられた標準的なデフォルトのアバターのままにしているユーザーが多いです。 プロダクトの仮説: 新規ユーザーが素早く納得のいくアバターをカスタマイズして作成するのを助けることによって、ユーザーがRobloxから得る価値を高めることができます。

当社のアバタークラスター化モデルを駆使して、かなりカスタマイズされた既存のデザインを元にユーザーの方々へ最初からユニークで素敵な外見のアバターを提供することができます。 Robloxに初めて参加するときのことを考えてみてください。思考スイッチを入れるためのものとして、以下の5つ(数値的に多様性のある)のアバターがあります。 もしかすると、その上をスクロールしてくと、さらにユニークなバリエーションを見せてくれるかもしれません。

2.提案された服装のバリエーション: デフォルトアバターが提供する「アバターインスピレーション」の種類は、既存のアバター編集においても貴重なものかもしれません。 共通点や相違点に基づき、かなり編集されたアバターの原型を提示してユーザーの想像力を掻き立て、これは本質的には新しい検索と発見の分野でのチャンスです。 当社のプロトタイプ(以下を参照)のユーザーフローには問題がありますが、 それが機能するときは、とても素晴らしいです。

3.自分のアバターの説明: プロトタイプ作りの利点として、実現可能性と予定が分かることもあります。 ユーザーの英語のクエリを自動的に着飾ったアバターに変えるという特に野心的なアイディアを考えてみてください。 この方向に一歩を踏み出すということは、アルゴリズム的にはアバターアセットに説明の言葉をタグ付けするということです。 しかしながら、以下の例にも見られるように、画一的なモデリングテクニックは面白いくらいに長いものです。.

この特定の例は、隠された学びをもたらしてくれます。それは、非常に豊富な多様性がRobloxアセットにはあり、事前に訓練されたネットワークと何万もの訓練サンプルがあっても、空間を正しくモデリングすることは大変です。
それぞれの例には、アセットサムネイルが含まれています。 その下には、各タグ(小さい方が良い)の相関性のスコアと自動に提案されたタグです。

少なくとも、「パンダ」はトップ8に入っていますが、「カメ」や「イヌ」という推測も可愛いものです。

色を覚えるのは簡単だと思うかもしれませんが、明らかにそうではありません。

モデルには、ここでいいアイディアがありました! 異なるタイプの武器のさらにきめ細かい区別をすることは、できません。

結論:製品をアイデンティティに基づいて構築

このアバターの外見の分析は、Robloxでの旅路が同じではないということを明らかにしています。 ユーザーの方々はさまざまなバックグラウンドを持っていて、プラットフォーム上でも同様に多様性のある体験や自己表現を求めます。 データサイエンティストとして、仮説に基づいて製品開発を考えたいと思っています。 この言語でそれを組み立てると、当社の中核となる仮説は、ユーザーの多様な美的ニーズを擁した製品機能は、ユーザーにもメタバースにも良いということです。

RDCで盛り上がっていた当社の開発者が聞いたかもしれないような革新的な製品開発とユーザーのニーズを浮き彫りにする深い考察を組み合わせること。全般的に当社のお気に入りのパターンはこれです。. 当社はまだ両者のアバターに関して新しい道のりを歩み始めたばかりですが、これからみなさんの多大な協力が必要になるでしょう。


ナミア・ハーシュキンドは、Robloxのデータサイエンス部署のインターンです。 プレイヤーの皆さんが自分の好きなアバターが作れるようにRobloxのアバターに取り組んでいます。 Robloxコーポレーションとこのブログは、いかなる企業もサービスも推奨も支持もしません。 また、このブログに含まれる情報の正確さまたは完全性について、いかなる保証または約束もしません。

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