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Roblox(ロブロックス)のアバター技術の進化について

October 17, 2023

by Daniel Sturman, Chief Technology Officer, Roblox


テック
  • 現在、2つの技術的に異なる種類のアバターに対応しています。古いアバターとバーチャル空間に対応するレガシー技術スタック(R6)と、すべてのアバター形式と機能に対応する新しい技術スタック(R15)です。
  • どのタイプのアバターやバーチャル空間でも使え、どなたでも最新の機能にアクセスできるようにするため、当社は単一の技術スタックに統一する作業を行っています。
  • これには技術的な困難が伴いますが、新しい統一技術スタックへの移行を容易にするツールをリリースするために開発者コミュニティと緊密に協力しています 。

アバターはますます「自分らしさ」を作るものとなりつつあります 。 Roblox(ロブロックス)では、6,500万人以上のデイリーユーザーのみなさんに、外見だけでなくリアルタイムでの人との関わりにいたるまで本当に自分の分身となって心を表現してくれるアバターを持ってもらいたいと考えています。 13歳以上の方ならどなたでもRoblox上でアバターになって友達と通話できる 「コネクト(Connect) 」のような没入型の通信ツールのリリースにあたって、アバターの存在はますます大切になってきます。 アバターを自分のものとして感じられるようにするには、リアルタイムで反応したり、その時の感情を表現できるようにする必要があります。 微妙な表情をしたり、声に合わせて口を動かしたり(リップシンク)、肩をすくめたり、うなずいたりといった非言語的なニュアンスを伝えられるアバターが必要になってきます。

没入感たっぷりのバーチャル世界の中で誰もが自分自身を反映できるようにするには、自分の身代わりとなるアバターを作るのに組み合わせられる多種多様な要素が必要になります。 選べる体型や頭のタイプ、衣装やメイク、アクセサリの種類、髪や肌の色、質感、スタイルが増えています。 このように選べるアイテムの幅を急速に広げていくために、当社は新しいアバターをもっと簡単に作成できるようにして、より多くの方々がアイデアを実現できるように取り組んでいます。 最初の黄色いブロック型のアバターから、当社はここにたどり着くまで長い道のりを歩んできました。

アバターが進化し、改良されていくにつれて、重ね着表情アニメーション「音声でチャット」アニメーションパック、リアクションなど、最新の進化もすべてのアバターとすべてのバーチャル空間内で利用できるようにしていきます。 現在、R15と呼ばれる最新の技術スタックで作られたアバターだけが最新の機動性と表現力を発揮できるようになっています。 それは現在、2つの異なるアバター技術スタックに対応しているからです。 R6技術スタックは、ボディパーツが6つしかない定番のブロック型のアバターとそのアバターのために作られたバーチャル空間用に設計されました。 R15の技術スタックは、最大15個のボディパーツを持つ すべての アバタースタイル(ブロック型、ヒューマノイド型、空想上のキャラクター)に対応するように設計されており、すべてのアバター向けに構築されたバーチャル空間に対応しています。 異なる二種類の技術スタックへの対応は、開発者やクリエーターのみなさんにとって制限やフラストレーションのもとになっていました。

アバター

当社は15年以上にわたってバーチャル空間に対応してきましたが、その多くはR6技術用にデザインされたもので、当社が望むように最新で最も表現力豊かなアバターと違和感なく連動はしていません。 例えば、R15で作られたアバターを持っている人がR6で作られたバーチャル空間に入ると、アバターの見た目や動きがいつもと違ってしまう場合があります。 シャツの上にジャケットを羽織るような重ね着をしているとアバターはシンプルな服装に戻ってしまいます。 また、障害物コースのように特定のアバターのサイズに合わせて作られているバーチャル空間もあります。 Robloxを利用したり、Roblox上で制作したりしているみなさんにとって、これが理想的ではないことは当社も承知しています。

当社は、Robloxをお使いのみなさん全員に最先端のアバター技術を利用してネット上のアイデンティティを完全に体現し、素晴らしいバーチャル空間やビジュアル作品を制作してもらいたいと考えています。 また、当社は既存のアバターやバーチャル空間との下位互換性も確保したいと考えています。 このような状況を踏まえ、当社はこの統一技術スタックにどのように取り組むかについて非常に慎重に考えています。 当社は、このような世界を構築する開発者のみなさんに思い通りのバーチャル空間の雰囲気を維持しながら、活気に満ちた魅力的なバーチャル空間を提供し続けるためのツールと支援を提供しています。

統一技術スタックへの移行

当社のアバターは、ブロック型でもヒューマノイド型でも、まったくの空想上のキャラクターでも、どんなバーチャル空間内でもどんなアクセサリとでもうまく機能 しなければなりません。 当社は、これまでクリエーターとユーザーのみなさんが感じてきた違和感を取り除きたいと考えています。 また当社は、R15技術やR6に対応するかどうかにかかわらず、クリエーターのみなさんがバーチャル空間の外観や感触を操作できるようにしたいと考えています。 これらすべての新機能と能力をサポートするために、現在、そして今後も技術革新を続けていくために、当社はすべてのアバターに対応する技術的な枠組みを統一します。

開発者コミュニティからは、定番のブロック型のアバターの外見と雰囲気は維持したいけれどアバターの大きさと比率は一貫させてほしいという声がありました。 また、R15技術で作られたアバターをR6バーチャル空間に今すぐ簡単に読み込みできるツールや、R6バーチャル空間をR15基準に変換するプロセスを自動化する機能が欲しいという声もありました。 当社の長期的な目標はR6のバーチャル空間をR15のスタックで使えるようにするレイヤーを構築することであり、その一方で当社が維持する必要のある特殊なコードを最小限に抑えることです。

今年の初旬、R6からR15へのアダプターを発表. このアダプターは仮想化レイヤーとして機能し、アバターの作成者が何もしなくても、R6のスクリプトをR15のボディ上で実行できるようにします。 R15アバターがR6のバーチャル空間に参加する場合、アダプターによってR6アバターと同じように動かすことができます。 これを使えば、開発者はワンクリックですぐにR15アバターを試すことができ、バーチャル空間にアップデートを加える前に効果を確認できます。 この新しいアダプターを使えば、R15のアバターは重ね着や表情などの機能を保持したままR6のバーチャル空間に参加して開発者が本来意図したとおりに動くことができます。

当社の次のステップは、開発者がR6のバーチャル空間をR15の技術スタックに簡単に移行できるようにする一連の変換ツールです。 これらのツールは開発者がバーチャル空間のスクリプト、キャラクター、アニメーションを変換したり、変換後にテストしたりするのに役立ちます。 変換ツールはR6からR15タイプへのアダプターを使用するため、開発者は変換途中でもバーチャル空間を壊さずに公開できます。 最後に定番のRthroアバターへの反映を含む拡大/縮小機能を任意の設定に調整できるようにする予定です。 これを使えば開発者は障害物コースに一貫性を持たせることができ、新しいタイプのRobloxバーチャル空間を構築できる可能性が広がります。

アバター技術スタックの統一後の展開

統一技術スタックへの移行は、アバター技術を改善して新しい機能やツールを導入し、開発者やユーザーをサポートするために必要なステップです。 しかし、これはほんの始まりにしか過ぎません。 すべてのアバターを1つの技術スタックに統合することで、開発者は以下のような新しいリアルタイムの通信ツールを活用しやすくなります。 「コネクト(Connect) 」. このような通話で自然な会話をしているように感じるためには、表情やリアクション、声の同期といった新しいアバター機能を利用する必要が出てきます。 当社はまた、より多様なアバターを使用できるようにするため UGCメンバーのどなたでもアバター作成ができるように門戸を広げました。. また、当社は Robloxをお使いのどなたでも簡単に画像とテキストプロンプトからアバターを作成できる生成AIツールも有効にしました。

当社の目標は、安全で民度の高い環境でみなさんをつなぐプラットフォームを作ることです。こういった新しいアバターによる制作や交流をどのように内容規制するかについては慎重に検討しています。 このような生成AIによって制作が急速に進化し、制作活動をみなさんに解放していくに伴い、当社の内容審査も人工知能と人間の内容審査担当者を組み合わせて活用しながら歩調を合わせていく必要があります。 現在、当社が取り組んでいる課題の中にはアバター作成の組み合わせの本質と、プラットフォーム上の膨大な数のみなさん同士の交流に直接的に関係しているものがあります。 内容審査ツールについて詳しくはリリースされ次第、お伝えします。

当社の最終的な目標は、どなたでもゼロからアバターを作成してカスタマイズできるようにすることです。 これによって、みなさんひとりひとりが個性を表現する方法が無限に広がります。 技術的な面でも、クリエーターの視点からも、解決すべき興味深い技術的な課題がたくさんあります。

  • クリエーターは、体の対称性や手足の本数、顔の特徴に制限のない膨大な数のアバターアイテムをどのようにデザインするのでしょうか。また、服を重ね着したり、アバターの顔を動かす機能にも対応しているのでしょうか。
  • プロ仕様の3Dグラフィックソフトを使わなくても、もっと大勢の方々がアバターを作れるようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
  • Robloxのどのようなバーチャル空間にも、自分だけのアバターを違和感なくフィットさせるにはどうすればいいのでしょうか?
  • UGCアバターや強力な生成AI技術が急速に普及する中、当社のチームはどのようにグリッドとクラウドを最適化し、最大限の安定性と低遅延、効率を実現できるでしょうか?

当社はクリエーター向けの新しいツールやプラットフォームの信頼性をさらに高めるための新しいインフラ、そしてクリエーターコミュニティとの透明性の高いコミュニケーションを継続していくことで、これらの課題の解決に取り組んでいます。 みなさんに1つの統一技術スタックをお使いいただき、すべてが簡単になるツールをリリースすることでクリエーターのみなさんは最も得意とすることができるようになります。だれもイメージすらできなかったものを生み出し、人のの心を動かすことです。