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2023年Roblox開発者会議(RDC 2023)、「Robloxの今後の展開」

September 8, 2023

by Manuel Bronstein, Chief Product Officer, and Dan Sturman, Chief Technology Officer, Roblox


カテゴリーなし テック

毎年恒例の第9回Roblox(ロブロックス)開発者会議(RDC)が米国サンフランシスコのフォート・メイソン・センターで本日、開幕しました。 毎年このイベントには、世界中のRobloxコミュニティで最も革新的なクリエーターの方々が集まって、親睦を深めながら当社の最新の機能や製品について発信します。 今年は、「みんなとつながる新しい方法をクリエイト」という当社のビジョンを達成するための計画を共有しました。

2023年の6月末までの四半期終了の時点で、6,550万人ものユーザーのみなさんが毎日平均2時間30分をRobloxで費やしています。 プラットフォームが成長するにつれ、コミュニティがつながり、制作し、コミュニケーションすることへの熱意がこれまでになく高まっています。 RDCで共有したイノベーションの内容は、当社のビジョンを実現するために定めた4つの原則に当てはまります。以下では、それぞれの原則について説明していきます。 以下では、それぞれの原則について説明していきます。

1. 当社の3D没入型コミュニケーションとつながるためのプラットフォームをさらに進化

Roblox 人とのつながりとコミュニケーションのための世界規模の没入感あふれるプラットフォームです。 当社はRobloxをさらに進化させ、新しいコミュニケーション方法を導入することでパーソナライズされた表現力豊かなアバターを簡単に作成できるようにしています。 このユニークなアバターは、没入感のある3Dバーチャル空間の中でユーザー同士のつながりを深めるのに役立ちます。 アバターはそれぞれのユーザーのアイデンティティを表し、何度でも変えられます。 2022年には、デイリーアクティブユーザーのうち1,000万人以上が毎日アバターを更新しました。

5種類のRobloxアバター

RDCでは、アバターの作成と公開をどこからでもできる限りスムーズに行えるよう、今年中に展開する新しいツールを発表しました。

  • 新しいメッシュとテクスチャAPIにより、クリエーターがバーチャル空間内のアイテムの形状や寸法を変更したり、テクスチャを変更したりできるようになります。 数ヶ月以内に開発者はこのAPIを有効にすることでバーチャル空間から出なくてもアバターをカスタマイズできるようになります。 まずはアバター自体のカスタマイズ(そばかすの追加や顎の形の変更)が出来るようになり、次にアバターアイテム、衣装、リアクションがバーチャル空間内で作成できるようになります。
  • 当社のアバター作成ツールは、OBJファイルやFBXファイルに加え、標準的なgLTFファイルのインポートにも対応するようになりました。 さまざまな表情、リアクション、アクセサリ、重ね着した衣装を装着すると、作成したアバターがどう見えるかを確認できるプレビュー機能もリリースしました。 さらに今年後半には、クリエーターのためにモデルのリグ作成、スキニング、ケージング、セグメント化のプロセスを自動化する機械学習(ML)駆動ツールをリリースする予定です。
  • 写真とテキストプロンプトから簡単にアバターを作成し、カスタマイズしてユーザーの持ち物リストに追加して使い始められるようにしていく予定です。 現在、この作業には経験豊富なクリエーターの方でも数日から1週間はかかります。 デイヴは基調講演で、これらの新しいツールを使ってわずか数分で簡単にアバターを作成できるようになることを実演しました。

簡単にできるアバター作成を実演するデイヴ

また、アバターを使った感情を表現する機能をさらに拡張し、表情だけでなく手のジェスチャーや上半身の動き、よりリアルなアバターの動きを可能にする新しい機械学習(ML)技術も開発していきます。 近い将来、アバターはその人の表情を瞬きの速度まで正確に反映するようになっていきます。 こういったすべてのことがみなさんが没入型のバーチャル空間の中でも同じように感情的なつながりを持てるようにするために大切なことです。 当社は、クリエーターのみなさんがこういった新しい機能を使ってどのような作品を作るのか、とても楽しみにしています。

新しいコミュニケーション方法の共有

大勢のみなさんがすでにRobloxを利用してテキストチャットや音声チャット(米国では13歳以上対象)で友達とつながり、コミュニケーションをとっています。 また先月からは、13歳以上のユーザーのみなさんが 自分のアバターを「表情アニメーション」でデバイスのカメラを使って動かせるようになりました。 今回のRDCでは、当社は友達同士でアバターになって体験を共有しながら通話ができる新しい通信方法、「Roblox コネクト」を発表しました。

「コネクト」使用方法の流れ

今年後半に始動予定の「コネクト(Connect)」では、Robloxの友達リストにある人に本名を使って通話して、キャンプファイヤーのそばで一緒に座ったり、滝のそばに立ったりと没入感あふれる共有空間に移動して身振り手振りと顔の表情でニュアンスを伝えながら会話を楽しめます。 開発の舞台裏の観点から言うと、機材や動作追跡用の点がいらないスマホやノートパソコンで動作するハリウッドスタイルのモーションキャプチャスタジオ機能を搭載していることになります。 動作をリアルタイムで抽出してアニメーションに変換するのに必要なのはデバイスについているカメラだけです。

当社は「Roblox コネクト」をオープンソースにして、公開プラットフォームAPIだけを使用して構築します。 「Roblox コネクト」を当社の総勢何百万人ものクリエーターのみなさんに直接、提供することでクリエーター全体の才能開花を促し、新しいコミュニケーション体験を作り出す起爆剤となるはずです。 クリエーターのみなさんがこのテクノロジーをどんな風に使うかをすべて予測することはできませんが、この新しい機能を使って可能性としてどんなことができるかの例をいくつか挙げておきます。

  1. 現在、サンフランシスコに住んでいる人がロンドンに住んでいる友達とニューヨークのメトロポリタン美術館のRoblox上にあるバーチャル空間、『The Met』で会って、最新の展示を一緒に鑑賞できるようになっています。 しかし、「コネクト」を使えば、友達同士でRobloxで通話を始め、一緒に目的地にテレポートしてリアルタイムで芸術作品の感想を聞いたり、友達の反応を見たりできます。
  2. 父親と成人して遠くへ引っ越した息子が湖の近くの船着場で一緒に釣りに行ったときの思い出話に花を咲かせることもできます。 冗談を言い合いながら、相手の笑い声を聞いてアバターから表情も分かります。

2. さらに数多くのデバイスでどこからでも、卓越したバーチャル空間でつながる

Robloxは世界最大級の没入感あふれるプラットフォームです。 デバイスが進化し、新しいバージョンが利用できるようになるにつれて、当社はRobloxを利用するすべての方々にそれぞれのデバイスで可能な限り最高の体験を提供したいと考えています。 クリエーターのみなさんは、一度バーチャル空間を公開するだけで、当社が対応しているすべてのプラットフォーム上で世界中のユーザーのみなさんの手元にすぐに作品を届けることができます。

Playstation, Meta, Xbox

当社は、Meta Quest(メタクエスト)上でRobloxのバーチャル空間を制作するために開発者の方々にアクセスを開放し、
大きな反響を呼んでいます。 最初の5日間でオープンベータ版のダウンロード数は100万回を超えました。 RDCでは、Robloxが今月末にはMeta Quest上で広く利用できるようになることを発表しました。 また、Roblox Xboxアプリをアップグレードし、新しい外観、頻繁なアップデート(最新機能へのアクセス)、コンテンツ推薦の改善、ユーザー体験の向上を実現する予定していることも発表されました。

また、ついに来月には何百万人ものPlayStationコンソール所有者がRobloxのバーチャル空間カタログ全体にアクセスできるようになることを発表しました。 Robloxで活躍する開発者の方々が制作したバーチャル空間がこの2つの素晴らしいプラットフォームで提供されることは、Robloxをあらゆる人気デバイスでお楽しみいただくための重要な一歩となります。 そして、当社がここで止まることはありません!

3. 収益の多様化と活気あるバーチャル経済活動の拡大

Robloxでは、クリエーターのみなさんをサポートするための各種ツールやサービスに加え、クリエーターのみなさんがRobloxで収益を得るための新しい方法を提供しています。 当社の 「Robloxでの経済活動」についてのビジョンでお伝えしたように、当社は世界最大級のバーチャル経済活動を支えています。 2023年6月までの12ヶ月間で、Robloxの開発者は6億8000万ドルを稼ぎました。 また、これから数年の間にさらに大勢のクリエーターのみなさんが収益を得られるよう収益を多様化し、 新しい方法 も導入しています。

生成AIの活用

RDCでは、Robloxを使った制作をより身近なものにし、上級クリエーターの方々がより豊かで魅力的なバーチャル空間をより早く構築できるようにする会話型AI、「アシスタント(Assistant)」を発表しました。 「アシスタント」は今年後半にRoblox Studio(ロブロックス・スタジオ)とクリエーターハブで利用できるようになります。来年には、クリエーターのみなさんがさらに効率的に学んだり、コーディングを覚えたり、制作できるようにバーチャル空間内でも利用できるようになる予定です。 クリエーターのみなさんがフィードバックを提供すれば、「アシスタント」が最適な解決策を提供します。 この新世代のAI搭載ツールは、すべてのクリエーターのアイデアを具現化するお手伝いをしてくれます。

「アシスタント」は、Robloxにおける既存の生成AIの活用を基盤としており、初心者や経験の浅いクリエーターが参入する障壁を下げると同時に、実績のあるクリエーターが面倒な反復作業を自動化し、迅速に作品の規模を拡大できるようにします。 どちらの場合も、新たな制作のチャンスを作り出し、より多様なアイデアやより大規模で野心的なプロジェクトがプラットフォーム上で共有されることで、全員が恩恵を受けることになります。 今年初め、 「コードアシスト(Code Assist)」「素材生成(Material Generator)」 をベータ版としてリリースし、すでに両ツールで大きな成功を収めています。 「コードアシスト」 をリリースして以来、以前の自動補完ソリューションと比較して、生成されたコードの量が倍増しています。 テキストプロンプトで素材のバリエーションを生成できる素材生成のベータ版を使用したクリエーターは、ベータ版を使用していないクリエーターと比較して、物理ベースレンダリング(PBR)素材バリエーションの使用率が50%以上増加しました。

クリエーターにとっての収益化の機会

RDCでは、クリエーターのみなさんがRobloxで収益を得る能力を向上させるための重要な機能強化について共有しました。 まず、クリエーターが自作のバーチャル空間の中で定期購入を提供し、どの機能やサービスを定期購入モデルとして提供するかを自由に選択できるようにする方法を近々開始する予定であることをお伝えしました。 例えば、デジタルの「トランククラブ」のような定期購入を提供し、定期購入者が定期的に厳選された衣装を受け取ったり、メンバー限定のファンクラブを提供したりすることができます。

Robloxでの経済活動に誰でも参加できるようにするための一歩として、今月末、本人確認書類が認証済みでプレミアム会員 になっている方を対象にマーケットプレイス向けの制作に招待します。 当社は、みなさんに愛される、創造性が保護されているマーケットプレイスを作りたいと考えています。 そのため、今年マーケットプレイスを解放するにあたり、本人確認書類の認証に加えて、クリエーターの責任を強化するための安全システムを導入しています。 また、クリエーターがアイテムの複製を検出し、知的所有権の侵害請求をさらに簡単に報告・管理・追跡する方法も開発しています。 これらのツールは現在開発中 なので詳細が明らかになり次第、お伝えします。

また、マーケットプレイスも進化させる予定で来年までには数量が決まっているもの(限定品)と、数量が自由に設定できるもの(フレックス)の2種類が主流となり、どちらも公開手数料の単価が設定される予定です。 現実の経済活動に基づいたこのシステムは、クリエーターのみなさんが持続的に収益を得られるようにすることを目的としています。 当社は4月に「限定品」を始動させ、2023年6月までに限定品の77%が完売し、アイテムの80%が当初の価格より高く再販されるなど、強い牽引力を見せています。

昨年のRDCでは、没入型広告を開始する計画を発表しました。 今年は学びの年でしたが、すでにクリエーターの中では、特に中・ロングテールのクリエーターが没入型広告から最大20%の収益を上げている兆候が見られます。 またブランド各社からも、より効果的にコミュニティにリーチする方法として、こういった広告の効果を実感して頂いています。 例えば、H&Mのポータル広告は、バーチャル空間に参加した人数を11%増加させ、そのうちの97%が初めてバーチャル空間に参加しました。 11,000人以上の人々が、没入型広告を通じてH&Mのバーチャル空間にテレポートした友達と一緒に参加しました。

また、クリエーターマーケットプレイスの手数料について、コミュニティからのご意見・ご感想をしっかりと受け止めています。 来年は、アセットやツールのクリエーターがStudioやクリエーターハブのアイテム販売で得た収益の 100%を保持できる (税金と支払い処理手数料を除く)よう、クリエーターマーケットプレイスの手数料を更新する予定です。 また、来年にはプラグインに加えてモデルも販売できるようになり、アセットがRobuxではなく米ドルで売買できるようになるため、Robloxのプラットフォーム手数料が不要になります。 小規模なスタートですが、クリエーター同士の交換による活気ある経済を構築したいと考えています。 当社は、あらゆる規模のクリエーターが収益を得る方法を多様化する手助けをし、可能な限りコスト効率を節約や高い報酬という形で還元したいと考えています。

4. 安全を土台にしたマナーあるネット空間を作るための協力

「安全性」は、当社の創立理念に組み込まれています。 安全性の確保は民度の高いネット空間を築くための土台となるものです。 当社は、 公平でお互いを尊重する有益なコミュニティ を構築する力をみなさんに与えるために、誰にとっても安全でマナーと思いやりがあるプラットフォームを維持するためのテクノロジーとワークフローに投資しています。 新しいコミュニケーション媒体を導入し、より多くの方々に創作活動に参加してもらうためには、内容審査ツールの拡張が不可欠です。

RDCでは、新機能を展開するにあたって安全な環境を維持するのに役立つ新しいツールを共有しました。 当社は、不適切な音声コミュニケーションの内容を検出する機械学習(ML)アーキテクチャを構築しました。 このモデルは、音声をテキストに翻訳してからそのテキストを分類するのではなく、AIが音声の内容と表現を直接評価する、この種のものとしては初めて大規模に展開されるものです。 英語の内容審査モデルはまもなくリリースされ、それから4つの言語が追加される予定です。

ネット空間における民度の向上は、Robloxとクリエーターコミュニティの共同作業です。 当社は、コミュニティにとってネットマナーとは何かを定義するための方針、ツール、洞察を提供することで、経験豊かなクリエーターのみなさんの力となります。 クリエーターのみなさんに権限を与えることで、オーディエンスにとって何が適切かなどの文脈を取り入れられるようになります。 現在、開発者は IsVerified APIを使用して、個人のアカウント認証レベルに基づいて、バーチャル空間内の機能へのアクセスをより適切に管理することができます。 これは、バーチャル空間の特定の部分へのアクセスを許可したり、バーチャル空間内の内容審査をより適切に管理するために使用できます。 今年の後半には、開発者が設定可能なテキストフィルタが開発者に提供され、コミュニティやバーチャル空間に適切なテキストの種類を決定するためのツールが提供される予定です。 この取り組みは、すべての人にとって安全で民度の高い活気あるコミュニティを作るためのテクノロジーとワークフローへの継続的な投資の一部にすぎません。

ここで終わりではありません…

RDCで紹介したイノベーションは、みなさんがこれまでになく幅広いデバイスを使って、これまで以上に没入感のある方法でつながり、コミュニケーションすることを可能にしてくれます。 クリエーターのみなさんにとっては、こういったツールによってどこからでも簡単に直感的な制作ができるようになります。また、クリエーターのみなさんが安全とマナーという土台の上にビジネスを構築することをサポートしてくれます。 これが当社のビジョン、「みんなとつながる新しい方法をクリエイト」を実現するための原則です。 当社は、クリエーターコミュニティのみなさんと共にこの道のりを続けられることに感謝し、うれしく思います。そして、みなさんがこの新しいテクノロジーで作り上げる素晴らしい作品を見るのを待ちきれません。